この数回は、資産効果についてお話してきました。30年にも及ぶデフレーションにより勤労所得の上昇は非常に小さなものでした。
デフレですから実質ベースの生活水準は同じであったとしても人は名目ベースの所得で消費を考えるものです。経済学でいう貨幣錯覚です。
そのため、勤労以外による収入の増加を生活構造の中に取り込まなければ消費は活発化せず、家計も国家経済も成長はしないのです。
勤労以外の収入として身近なものが資産運用、中でも株式投資でしょう。株式投資により資産効果を発揮することで消費の原資が手に入るのです。
家計の資産効果=
投資元本金額×株価の上昇率×消費性向
国家の資産効果には上記の式に個人金融資産に占める株式や投資信託の割合が加わってきます。
国民が株式投資をする際、個々の企業の価値を見極めて投資をすることは少ないでしょう。メディアでの株式に関する話題や専門家の意見などから形成される「株式市場全体を覆うストーリー」の魅力度に左右されると考えています。
今年に入り、今の株価は「バブル」であると警鐘ならす一部のメディアや専門家がいます。中には日経平均3,000円説を提唱している著名人もいます。これらの意見に影響を受け、投資を躊躇する人もいることでしょう。
本当にバブルであるのならば従っても構いませんが、彼らの発言で投資を控えた人たちは、その後の資産効果を享受できません。国家経済としても資産効果による個人消費の増加を望めないのです。
下の表は、1980年代のバブル期と現在のPERとPBRを比較したものです。これらの指標だけで株式市場を計れるものではありませんが、一つの参考としてみたいと考えています。
将来の豊かな生活のために、そして国家経済の成長のためには、資産効果による消費の拡大は必須のものなのです。
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